「双子ってお金がかかりそう」
双子を育てているとよく言われる言葉です。
実際そのとおりで、双子を妊娠してから出産、育児をする過程で、「双子だからこそ必要になった」という費用が山ほどあります。
「おさがりができないから」「なんでも2倍だから」
お金がかかると思っていませんか?
実はそれだけではありません。
「双子だからこそ必要になる」お金はほかにもあります。
どこの記事にも載っていない細かな費用まで、体験したからこそわかる「お金事情」についてまとめてみたいと思います。
「双子だからこそもらえる」お金についてもご紹介するので、安心して読んでくださいね。
長期に渡る入院の費用
いきなり不安を与える内容かもしれませんが、妊娠期間に入院を経験する双子妊婦さんはたくさんいます。
「妊娠は病気じゃない」とよく言われますが、双子の妊娠は「異常妊娠」と呼ばれます。
何らかのトラブルが起こりやすいため、受診の機会が増えるのです。
つわりで入院!?
たとえば重度のつわり。
本来つわりは病気でないため、どれだけつらくても病院で治してもらうことができません。
しかし重度のつわり(妊娠悪阻:おそ)になると、体が飢餓状態になり、点滴が必要になります。
一般的に、双子以上を妊娠しているとつわりは重たくなるといわれていて、実際に筆者も重度の悪阻となり入院治療が必要となったのです。
なんの準備もなくいきなりの入院だったので、入院費用に加えてパジャマなどの雑費が急に必要になりました。
さらに仕事も退職せざるを得ない状況になったのです。
切迫流産や切迫早産などの妊娠トラブルで入院
また切迫流産、切迫早産になりやすいのも多胎妊娠の特徴です。
切迫とは流産、早産になりかけている状態をさします。
陣痛の準備として妊娠後期からお腹が不定期に張るようになりますが、筆者の場合は妊娠5ヶ月でその兆候が出ました。
早産にならないように子宮を縛る緊急手術を受け、そのまま入院となったのです。
予想もしなかった手術代、入院費用が必要になりました。
ほかにも妊娠高血圧症、妊娠糖尿病など、双子妊娠で高くなるリスクが多々あります。
ただしこれらは、「双子妊娠だと確率が高まる」だけで、どんな妊婦さんでも可能性はあります。
しかし双子妊娠だからこその「管理入院」というものが存在するのです。
双子妊娠は管理入院の可能性が高い
妊娠の経過が順調でも、病院によっては管理入院をさせるところがあります。
「妊娠何週目になれば入院しましょう」と指示されるのです。
管理入院の有無や日数は病院によって異なります。
また一律の条件はなく、「上にきょうだいがいて安静にできない」「双子妊娠への不安から精神的に不安定になっている」などの理由で、医師が個別に判断するケースもあります。
母体と赤ちゃんを守るために必要なものなので、指示があれば従いましょう。
この管理入院は双子妊娠だからこそといえますね。
筆者の場合は妊婦健診のときに「今すぐ入院しましょう」と言われ、33週で産むまで1ヶ月半入院しました。
長期の入院にはなりますが、実際には「高額療養費制度」により月々の医療費の上限額が決まっています。
それでも立て替えて支払うのは毎月の負担になるので、ぜひ「限度額適用認定証」を申請しておきましょう。
加入先の健康保険に申請することで、認定証をもらえます。
これにより、会計の時点で「限度額まで」の支払いで済みます。立て替える必要がありません。
ただし、医療費以外の雑費や個室に入院する場合の「差額ベッド代」は別途必要です。
総合病院ではなく個人病院を選ぶ方もいるでしょう。
個人病院の場合、「大部屋」といっても実は2人部屋で、差額ベッド代がかかるケースもあるので確認が必要です。
入院には医療保険が強い味方に!ただし注意点も
民間の医療保険に加入している場合、これらの入院は「入院給付金」の対象となり、もし「女性疾病特約」を付けている場合は、さらに上乗せした金額を受け取れます。
ただし「双子妊娠中の入院は長期になりがち」な点に注意が必要です。
民間医療保険には「入院限度日数」があり、多くの場合60日が限度となるので、これを超えると給付金は受け取れません。
入院と退院を繰り返しても、一連の入院に関連性がある場合(今回でいうと同じ妊娠)、支払限度日数は合算されます。
つまり、妊娠初期につわりで入院し、妊娠後期に管理入院したとしても、その合計が60日を超えると給付されない可能性があるのです。
もし加入している医療保険がある場合、支払条件をもう一度確認しておくと安心です。
妊婦健診が増えるので助成券が足りないケースも!
妊娠期間中は妊婦健診を受けます。妊娠の週数にもよりますが、4週間に1回、合計14回前後が多いです。
本来この妊婦健診は自己負担ですが、無料で受けられる助成券が自治体より配られます。しかしその枚数に注意が必要なのです。
多くの自治体では14枚つづりの助成券が配られますが、双子妊娠は不安点が多く、妊婦健診が14回でおさまらないケースがあります。
その場合助成券は途中でなくなり、残りはすべて自己負担になります。
妊婦健診の助成については、自治体によって違いが大きいところです。
母子手帳の申請時などに、一度確認してみるといいでしょう。
■双子妊娠では安静がいのち!安静にかかる費用って?
一般的に、妊娠をすると5ヶ月で安定期に入ります。
周囲に妊娠を報告したり、つわりから解放されて旅行に出かけたりするのは、この時期が多いです。
しかし、双子妊娠に安定期はありません。
妊娠の経過によって「階段禁止」「マタニティヨガ禁止」などの制限はさまざまですが、共通して言えるのは、単胎のような安定期がないということです。
筆者の場合、妊娠5ヶ月で早産を防ぐための手術を受けた後は、産むまで寝たきりでした。手術後に退院して自宅安静となったときも、体を動かすのは原則禁止だったのです。
このような切迫早産の状態になると、家事はできません。
ごはんを作れないため、宅食(宅配弁当)を頼むことにしました。
毎日届くタイプだと玄関まで取りにいかないといけないため、お医者さんの許可がおりず、必然的に週に1度冷凍で届くタイプに限定されました。
宅食のほかにも、家事代行サービスをお願いする双子妊婦さんが多いです。
いずれにしても、安静のために家事が制限される場合、それらを代行してもらう費用が発生します。
とくに核家族で頼れる人がいない場合は、これらの制度について事前に調べておいたほうが安心です。いくつか比較することで、金額の目安もつかみやすくなりますよ。
■赤ちゃんグッズは2倍必要
新生児を迎えるための準備はわくわくします。小さな肌着、沐浴用のガーゼ、音の鳴るおもちゃ…。
お腹の赤ちゃんのために準備を進めるのは、マタニティ期のとても幸せなひとときです。
ただ、揃えなければいけないグッズは当然2倍。常に2つずつ揃えることになります。
洋服、おもちゃだけではなく、チャイルドシートやベビーカー、ベビーベッドなどの大物も必要です。
ある程度まとまった金額になってしまうので、一気に買うのはためらわれますよね。
でも、もし気になるものに出会えたら、早々に購入することをオススメします。
双子妊娠の場合は早めに管理入院が始まる可能性が高く、そうなると赤ちゃんグッズを買いにいくことができないからです。
今はインターネットでほとんどの商品を購入できますが、赤ちゃんとの日々を想像しながらグッズを揃えていく楽しみは、半減してしまうかもしれませんよね。
体が動くうちに、お気に入りのものだけでも揃えておくと安心ですよ。
購入だけにこだわらず、レンタルすることも一つです。
とくにベビーベッドは使用期間が短いため、購入してもすぐに手放さなければいけません。場所をとる大きいものこそ、一度レンタルサービスを調べてみることをオススメします。購入するよりも節約できるかもしれません。
■双子妊娠だからこそもらえたお金
「双子って産む前からお金がかかるのか…」と思われてしまったかもしれません。
双子だからこそかかるお金、双子だからこそリスクが上がってかかるお金…たしかに存在します。
でも、双子だからこそ受け取れるお金もあるのです!むしろ筆者の場合は黒字になりました。
今度はそちらをご紹介します。
すべてのママに!出産育児一時金
出産するとき、加入先の健康保険から出産育児一時金が受け取れます。
子供1人につき原則42万円なので、双子の場合は84万円です。
出産費は病院によって異なりますが、双子を出産しても84万円を超えることはほとんどありません。
つまりプラスになる可能性が高いのです!
働くママに!出産手当金や傷病手当金
母親が職場の健康保険に加入している場合、受けられる助成があります(夫の健康保険の扶養や、国民健康保険に加入している場合は対象外です)。
産後に8週間の働いてはいけない期間(産後期間)があるのは単胎でも同じですが、実は双子妊娠の場合、産前休暇が長いのです。
原則では出産予定日6週間前から申請できますが、双子以上を妊娠している場合、14週間前から申請できます。
この休暇中は賃金の3分の2相当額が受け取れるため、働くママには心強い制度です。
正社員に限らず、パート・派遣社員・契約社員も対象なので、覚えておきましょう。
また妊娠初期のつわりや切迫で会社に行けない場合は、傷病手当金制度があります。病気やケガのために連続して会社を休んだときに、4日目以降から支給されるお金です。
目安として賃金の3分の2の額が最大1年6ヶ月支給される制度なので、妊娠中のトラブルでも頼りになります。
産休後に早めに復職する場合、有給を残しておいた方が安心ですよね。
ぜひ傷病手当金制度を覚えておいてください。
とくに双子妊娠では安定期がないため、頻繁に医師から安静を指示されるケースが多いです。
会社の理解のもと、傷病手当金制度も積極的に活用しましょう。
また社会保険料の支払いも免除されます。
ここで紹介した制度の申請は基本的に会社を通して行うので、まとめて確認するとスムーズです。
自治体独自で、多胎児家庭の支援サービス
一部の自治体で、独自の多胎児家庭支援事業が実施されています。
その多くは出産後の支援で、たとえば「家事代行サービスの無料助成」「タクシー利用料の半額を助成」などがあります。
しかし妊娠中でも、支援サービスを実施している自治体があるのです。
東京都港区では、多胎の場合、産前のホームヘルパーを200時間まで低価格で受けられます。
このような助成制度は自治体によって大きく異なるので、一度ホームページなどで確認しておきましょう。
帝王切開なら保険適用になる
双子妊娠の場合、出産は帝王切開になるケースが多いです。
筆者も帝王切開でした。
帝王切開や吸引分娩になった場合、出産費用は保険適用となり、自己負担額が下がります。出産育児一時金の84万円とあわせると、多くのプラスとなるでしょう。
さらに民間の医療保険に加入していた場合は、入院給付金や手術給付金が受け取れます。
双子妊娠でさらに帝王切開の場合、民間の医療保険や出産育児一時金などに助けられます。
双子を妊娠すればかかる費用も増えますが、単純に2倍というわけではありません。
一方で出産育児一時金は2倍もらえるので、むしろプラスになりました。
出産後の双子育児にかかる費用に向けて、大切に残すようにしましょう。
■まとめ
双子の妊娠、出産でかかる費用についてご紹介しました。
「双子ってなんでも2倍だから、お金がかかるんだろうな」と漠然に考えていた方も、具体的にイメージしていただけたと思います。
今すぐできることは、
お住まいの自治体の助成サービスを調べる(妊婦健診助成、多胎児家庭支援など)
加入している医療保険があれば、支払条件をチェックする
ベビーグッズを探し始める。レンタルについても調べてみる
安静指示が出たときのために、家事代行サービスを比較しておく(産後にも役立ちます)
などです。
よく双子の大変さは2倍、可愛さ2倍と言われますが、本当にその通りです。
とくに初めての妊娠が双子だった場合は不安になりがちですが、「よくわからない」状態が不安感を助長させるもの。
ただしい知識を事前に身につけることで、不安感は軽減できます。
双子妊娠という今しかない貴重なマタニティ期は、漠然としたお金の不安をなくし、穏やかに楽しく過ごしていただきたいです。
産まれてからはめまぐるしい日々が待っているので、ぜひ今のうちに準備をすすめてくださいね。
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