超高配当ETF、JPモルガン エクイティ プレミアム ETF【JEPI】はどんなETFなのか?

2021年10月20日ごろから、JPモルガン エクイティ プレミアム ETF【JEPI】が日本の証券会社(楽天、SBI、マネックス証券)で購入できるようになりました。

【JEPI】は毎月分配型です。直近では2021年10月1日が権利落ちでした。0.3434ドル(厳密には0.34338ドル)です。

1年前の同期は0.4348ドルでしたので、1年前の同期との比較では21.0%減です。前回2021年9月の分配金は0.3388ドルなので、前期との比較では1.4%増です。

2021年10月21日の終値は61.8ドル、過去1年の分配金は4.5117ドルなので、利回りは7.30%になります。

※このページでの利回りは、過去1年間の分配金をもとに計算します。

【JEPI】はどんなETFか?

JPモルガン・エクイティ・プレミアム・インカムETF【JEPI】は、オプションの販売と米国大型株(主にS&P500)への投資を組み合わせ、オプション・プレミアムと株式配当から毎月の収益を得ることを目指します。

独自のリサーチ・プロセスによって、S&P500よりも分散された低ボラティリティーの株式ポートフォリオを構築します。

【JEPI】にはエクイティ・リンク・ノート(ELN)が20%弱含まれています。これは、株式に連動してキャッシュフローが決まる仕組債の一種です。

ライバルETFとの比較

【JEPI】のライバルは【QYLD】とも言われています。この2つを比較しましょう。運用総額はほぼ同じですが、経費率は【JEPI】が0.35%と低いですね。利回りは【QYLD】が10~11%と高いです。

さらに、超高配当ETFのアンプリファイ・ハイインカムETF【YYY】、利回りの高いBDC銘柄の代表格エイリス・キャピタル【ARCC】とも比較しました。

利回り(12カ月)はいずれも7%を超えています。運用総額は【YYY】が低く、約500億円。残りは5000億から1兆円と、なかなか大きいです。

分配金利回り(12カ月)は過去1年の分配金から算出したものです。

分配金利回り(直近)は直近の分配金が今後1年続いたものとして算出しました

【JEPI】のセクター比率は?

【JEPI】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率です。かなり分散されています。ヘルスケア、情報技術、資本財、金融、生活必需品がそれぞれ10%強です。「その他」の15.7%がELN(Equity Linked Note)ですね。

【VOO】と比較すると、情報技術セクターの比率がかなり減りました。資本財と生活必需品セクターが増えましたね。

【JEPI】の上位組込銘柄は?

【JEPI】の組込上位10銘柄です。【SPX】が上位を占めています。これがELN(Equity Linked Note)ですね。5位と6位はキャッシュとMMFなので除外して、以下の順位を繰り上げました。

【SPX】の組込状況は?

それでは、全組込銘柄の中から【SPX】を抜き出してみましょう。全部で8個ありますね。合計比率は15.7%。2つ上の円グラフの「その他」が15.7%なので、ほぼ一致しています。

株式の利回りは?

下の表は【JEPI】に組み込まれている全株式とその比率、利回りです。全銘柄の利回りの平均は1.5%、組込比率を考慮した場合の利回りは1.7%です。それほど高くないですね。

運用総額の変化は?

運用総額の変化です。表の上に伸びている緑棒が資金が流入(売れた)、下に伸びている赤棒が資金流出(売られた)です。

設定された2020年5月以降のデータです。40.5億ドル(約4500億円)増えています。下が【QYLD】の同じ時期の運用総額の変化です。こちらは38.3億ドル(約4200億円)増えています。

売れ行きは似ていますが、2021年以降は【JEPI】のほうが売れているように見えますね。ETF DATABATEのデータです。

【JEPI】の過去の分配金と増配率は?

【QYLD】が設定されたのは2020年5月です。下の表は過去の配当金の一覧です。データが少ないので何とも言えませんが、2021年の分配金は2020年と比べて減少傾向です。

※背景が赤になっているのが対象月と比べてマイナスです

【JEPI】の毎月の分配金は?

期別の分配金です。権利落ちは1日ごろで、1月はなく、12月に2回あります。2021年は、2020年と比べて、結構減っています。

【JEPI】の年間分配金は?

【JEPI】の分配金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。現在のところ、2020年は7回、2021年は9回権利落ちがありました。

【JEPI】の分配金と株価の関係は?

分配金と年末株価の比較です。何とも言えませんね。

設定以来の株価、利回り、YOCは?

2020年以降の【JEPI】の株価と利回りを見てみましょう。利回りは過去1年の年間分配金、直近の2パターンを算出しました。YOCは過去1年分配金から出しました。

株価は50ドルからスタートして徐々に上がり、現在は61.8ドルです。

直近の分配金を1年に換算して出した利回りは、分配金額が毎回バラバラなので、5~12%と安定していないです。

過去1年分配金からの利回りは、分配金を払い始めて1年が経過した2021年6月が約8%。その後、株価が上昇して分配金も減ったため、現在は7.3%です。

YOC(過去1年分配金を基準)は、7.2~7.6%です。

主要ETFとトータルリターンを比較する

【JEPI】とライバルETFのトータルリターンを比較します。ナスダック100をカバードコールするETF【QULD】、超高配当ETF【YYY】、そしてS&P500 ETF【VOO】と比べました。もっとも後発の【JEPI】が設定されたのが2020年5月なので、2020年6月から2021年9月までの1年4カ月間を比較します。PORTFOLIO VISUALIZERを使用しました。

2020年6月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2021年9月には【VOO】が1万4400ドル、【YYY】が1万3300ドル、【JEPI】が1万2900ドル、【QYLD】が1万2400ドルになっていました。

期間が短いので何とも言えませんが、【JEPI】は超高配当の【YYY】や【QYLD】と似たようなリターンですね。

過去のトータルリターン

過去3カ月、1年、1年4カ月の年平均トータルリターンは以下の通りです。過去1年の年平均リターンは【VOO】が30.0%、【YYY】が25.9%、【JEPI】は21.2%、【QYLD】が14.9%でした。ここ1年の相場が良かったことを考慮しても、【JEPI】の年201は悪くないですね。

危険度はどのくらいか?

ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。

シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンの比較です。「(ファンドのリターン−無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。1を超えていれば、優秀です。

ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。1.5を超えていると、素晴らしいです。

2020年6月以降のデータなので、いずれの銘柄も好調でした。計測期間が短すぎるので、シャープレシオやソルティノレシオの値は参考にならないですね。少なくても3年以上のデータにしたいところです。【JEPI】の最大ドローダウンは−4.15%で【VOO】よりも優れています。

主要ETFとの分配金比較は?

2020年7月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。

1年4カ月間の分配金の合計は【QYLD】が1800ドル、【YYY】が1500ドル、【JEPI】が1200ドル、【VOO】が290ドルでした。【JEPI】は【QYLD】や【YYY】にやや遅れを取っています。

【JEPI】の今後のYOC予想は?

現在の過去1年分配金額(4.5117ドル)と過去の同時期の過去1年分配金額を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来YOCを予想しようと思ったのですが、分配金を支払い始めてから1年6カ月ほどしか経っていないので、増配率を計算できません。

そこで、年間増配率が変化なし、1%、マイナス1%、2%という4つのパターンで検証します。

ちなみに、YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの利回りのことです。【JEPI】株を2021年10月21日の終値61.8ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。

現在の利回りは7.30%です。

「分配金を再投資しない」「分配金を再投資しない(税引き後)」「分配金を再投資する」「分配金を再投資する(税引き後)」の4パターンで検証します

分配金を再投資しない場合のYOC

まずは分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。スタート年は、現在の利回りの7.30%です。

もっとも増配率の低い増配率マイナス1%で推移すると、5年後のYOCは6.94%、10年後のYOCは6.60%になります。もっとも成績の良い増配率2%で推移すると5年後のYOCは8.06%ドル、10年後のYOCは8.90%です。

分配金を再投資しない場合(税引き後)のYOC

次に分配金を再投資しないケースで、税金を引いた場合のYOCをチェックしましょう。分配金は約28%の税金を引いた72%が支払われます。スタート年のYOCは7.30%ではなく、税引き後の5.26%になります。

もっとも増配率の低い増配率マイナス1%で推移すると、5年後のYOCは5.00%、10年後のYOCは4.75%になります。もっとも成績の良い増配率2%で推移すると5年後のYOCは5.80%ドル、10年後のYOCは6.41%です。

分配金を再投資する場合のYOC

それでは分配金を年1回再投資する場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。

もっとも増配率の低い増配率マイナス1%で推移すると、5年後のYOCは9.81%、10年後のYOCは12.96%になります。もっとも成績の良い増配率2%で推移すると5年後のYOCは11.62%ドル、10年後のYOCは19.20%です。

分配金を再投資する場合(税引き後)のYOC

最後に分配金を再投資するケースで、税金を引いた場合のYOCをチェックしましょう。分配金は約28%の税金を引いた72%が支払われます。スタート年のYOCは7.30%ではなく、税引き後の5.26%になります。

もっとも増配率の低い増配率マイナス1%で推移すると、5年後のYOCは6.43%、10年後のYOCは7.76%になります。もっとも成績の良い増配率2%で推移すると5年後のYOCは7.57%ドル、10年後のYOCは11.21%です。

設定から日が経っていないので将来のことは予想しづらいですが、【JEPI】は利回りがかなり高いので、分配金が維持されていた場合、再投資し続ければ、YOCはかなり期待できます。

まとめ

【JEPI】は設定から日が経っていないので、データからの傾向はつかみづらいです。

【QYLD】へ投資をしすぎた人がが、こちらに少し振り分けるなどの使い方がいいかもしれません

インカムとキャピタル、どちらも狙うというのは興味深いですが、中途半端になるかもしれません。ただ、経費率が0.35%と低いのは、悪くないですね。

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