皆様、QYLDという超高配当の米国株ETFはご存じでしょうか?
最近じわじわと人気が高まっており、一度くらいは聞いた事があるかもしれません。
そこで今回は、QYLDの特徴(メリット、デメリット)、リスクとリターン、投資価値は有るのかについて解説していきます。
本記事が参考になる方は以下です。
- QYLDの特徴(メリット、デメリット)知りたい方
- QYLDのリスクとリターンを知りたい方
- QYLDに投資しようか迷ってる人
- 超高配当ETFに興味がある人
- 分配金はどこから捻出されているか知りたい方
- FIRE、サイドFIREを目指している人
- 配当金生活を夢見てる方
結論を先にお伝えします。
QYLDはリスク(変動幅)が低く、良好なリターンが期待できる優秀なETFだと考えます。
また、バックテスト結果も良好でした(バックテスト結果は後述)。
QYLDは分配金利回りが12%前後あり、今後も8~12%が見込めるため高配当好きな方には投資価値があると思います。
※実際に投資する際は、あくまで自己責任でお願いします。
FIREを目指す方は、QYLDのような高利回りのETFをポートフォリオに組み入れれば、FIREまでの道のりはぐっと近づくと思います。
QYLDで配当生活をする人も今後増えてくるのでは無いでしょうか?
それでは以降でQYLDの説明をしていきます。
QYLDの特徴とメリット
まず始めにQYLDの特徴をまとめておきます。
・グローバルX社が運営している米国上場ETF
・名称:グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF
・NASDAQ100指数に投資をしつつ、カバードコールの売りで利益を生み出す仕組み→ボラが高いと利益増
・12月銘柄入れ替え、年4回リバランス(3,6,9,12月)、コールオプションの更新は毎月実施
・連動指数:CBOE NASDAQ-100®・バイライト・V2・インデックス
・配当利回り:12%前後(2021/07/16時点))
・毎月分配
・経費率:0.60%
サテライトですが高配当ポートフォリオを組んでいる私としては、非常に好きな銘柄の一つです。
グローバルX社の商品及び高配当ETFの中で断トツお気に入りの銘柄です。
QYLDの最大の特徴は、①超高配当②毎月分配③低リスクなところですね。
残念ながら経費率は0.60%と少しお高めです。
それではファンドの詳細(2021年9月26日時点)です。
ティッカー | QYLD |
設定日 | 2013/12/11 |
インデックスティッカー | BXNT |
主要取引所 | NASDAQ |
純資産 | 46億$(約5,060億円) |
発行済口数 | 約2億 |
経費率 | 0.60% |
分配金利回り | 10~12% |
分配頻度 | 月次 |
QYLDは2013年に設定されており、意外と前からあったんだなといった印象です。
また、QYLDの純資産は46億$(約5,060億円)であり、グローバルX社が運用している海外上場ETFの中で第2位の運用資産残高を誇り、信頼されているETFと言えます。
QYLDのパフォーマンスと純資産推移はこちらです。
良い感じに右肩上がりですね。
設定来である2013年からのパフォーマンスはもうすぐ2倍になろうかと言ったところです。
また、直近3年くらいの純資産の伸びが凄いです。
それでは次にインデックスティッカー:BXNT(CBOE NASDAQ-100®・バイライト・V2・インデックス )のチャートを確認してみましょう。
BXNTも綺麗に右肩上がりである事が確認できます。
QYLDのパフォーマンス(トータルリターン)はBXNTに連動するように運用されています。
QYLDの株価チャートは値下がりしているようにも見えるので、不安になる方もいるかもしれませんが、QYLDのパフォーマンスを確認したい方はBXNTを見るようにしてください。
※実際にはETFの経費率等が引かれますので、BXNTに比べQYLDのパフォーマンスは劣後しますが、概ねQYLDはBXNTに連動するようになっています。
続いて2021年9月26日時点の組み入れ銘柄上位20社を紹介します。
比率(%) | Ticker | Name | 保有株数 | 保有総額($) |
11.118 | AAPL | APPLE INC | 3,495,895 | 513,302,262.85 |
10.311 | MSFT | MICROSOFT CORP | 1,589,248 | 476,075,130.88 |
7.913 | AMZN | AMAZON.COM INC | 106,944 | 365,320,704.00 |
4.287 | TSLA | TESLA INC | 262,616 | 197,917,922.24 |
4.151 | GOOG | ALPHABET INC-CL C | 67,568 | 191,658,659.04 |
3.922 | NVDA | NVIDIA CORP | 805,443 | 181,079,695.26 |
3.895 | GOOGL | ALPHABET INC-CL A | 63,680 | 179,852,697.60 |
3.778 | FB | FACEBOOK INC-CLASS A | 504,137 | 174,411,236.52 |
2.273 | PYPL | PAYPAL HOLDINGS INC | 376,002 | 104,942,158.20 |
2.092 | ADBE | ADOBE INC | 153,086 | 96,572,772.24 |
1.822 | NFLX | NETFLIX INC | 141,819 | 84,135,539.94 |
1.784 | CMCSA | COMCAST CORP-CLASS A | 1,466,112 | 82,351,511.04 |
1.655 | CSCO | CISCO SYSTEMS INC | 1,347,973 | 76,416,589.37 |
1.536 | INTC | INTEL CORP | 1,312,495 | 70,914,104.85 |
1.476 | PEP | PEPSICO INC | 441,991 | 68,124,072.83 |
1.447 | AVGO | BROADCOM INC | 132,432 | 66,785,457.60 |
1.388 | COST | COSTCO WHOLESALE CORP | 141,506 | 64,071,086.68 |
1.271 | TXN | TEXAS INSTRUMENTS INC | 295,344 | 58,675,992.48 |
1.26 | MRNA | MODERNA INC | 127,972 | 58,176,071.20 |
1.131 | TMUS | T-MOBILE US INC | 398,826 | 52,222,276.44 |
最強指数NASDAQ100と同じであり、今をときめく企業が名を連ねています。
文句のつけどころがありませんね。
そしてこちらがセクター別内訳です。
ITが約46%を占め、金融はほぼ0%です。
続いてこちらが過去12カ月の分配金です。
見せ方の問題かもしれませんが、安定しているように思えます。
なお上記のグラフではコロナショックの期間を含んでおりますので、コロナショックのような相場がパニックの時でも分配金は安定して支払われてきた事が分かります。
株価下落時にも分配金が安定して支払われる事は、非常に嬉しいポイントではないでしょうか。
高配当株投資の魅力は株価下落時にも配当(分配)金が出る事であり、なおかつその分配金が安定していれば精神的にも嬉しいですね。
これは、QYLDはカバードコール戦略という運用をしているからであり、特性上相場が不安定な時ほど利益が出る仕組みのため分配金も安定する傾向があります。
これはリスクヘッジにもなると言えます。
続いてこちらがリスク特性です。
CBOE NASDAQ-100®・バイライト ・V2・インデックス | Nasdaq 100 Index | |
年率ボラティリティ | 15.09% | 20.54% |
ベータ値 | 0.67 | 1.00 |
シャープレシオ | 0.66 | 1.09 |
NASDAQ100のインデックスに比べ、ボラティリティが抑えられており、なおかつ低ベータであることが分かります。
ここでもカバードコール戦略が効いています。
※ベータ値:株価指数に対する個別銘柄の感応度≒NASDAQ100のリスク(変動幅)対するQYLDのリスク(変動幅)の大きさ
人はリスクを過小評価する傾向があるため、リスクが小さいという事はメンタル的にも嬉しいポイントです。
しかし、残念ながらシャープレシオは原指数には勝てません。。
※シャープレシオ:運用効率の良さ≒リスクに対するリターンの大きさ
将来の資産を最大化したい人は、QYLDではなく、普通にNASDAQ100への投資(QQQ等)をお勧めします。
QYLDは高配当が好きな方に向いているETFです。
それでは次にデメリットの部分を解説していきます。
QYLDのデメリット
こんなに素晴らしいと思えるQYLDですが、もちろんデメリットと感じる部分もあります。
高配当と言われているETF(VYM,HDV,SPYD等)の分配金利回りはせいぜい3~6%です。
一方、前述の通りQYLDの分配金利回りは10~12%前後あり、一般的な高配当ETFの2~4倍程度の利回りがあります。
ではなぜ、QYLDはこんなにも分配金利回りが高いのでしょう?
その答えはQYLDはカバードコール戦略という複雑な運用をしているためです。
正直カバードコール戦略の運用の中身は見えにくいと思います。
しかし、過去データからはこのカバードコール戦略はうまく機能してきたと言えると思います。
そして私は多少の増配、減配を繰り返しながらも、今後もある程度の分配金(利回り8~12%程度)は維持でき、うまく機能するのではないかと考えております(後述)。
まずはカバードコール戦略についてサクッとまとめていきます。QYLDのカバードコール戦略とは
・原資産(NASDAQ100)を保有しつつ、オプション(権利)の売りを同時に実行
・原資産の一定水準以上の値上がり益を放棄
→原資産が伸びないと予想した時に有効な戦略
・オプションプレミアム(手数料みたいなもの)で利益を得る
まずオプションとは何か?の説明になりますが、オプションとはある金融商品をあらかじめ決めた価格で売買するかしないかを決める”権利”の事を言います。
オプション(権利)を買う人は手数料みたいなものを支払う必要があります。
この手数料のことをオプションプレミアムといいます。
QYLDはオプションを売る側なので、このオプションプレミアムで利益を出しているわけです。
以下の記事の中でオプションプレミアムと分配金の関係性、ボラティリティとの相関、今後の分配金見通しを解説していますので興味がある方は確認してみて下さい。
分配金が今後も8~12%を維持できると考えた根拠も記載しています。
QYLDのデメリットは前述の通りカバードコール戦略に対する理解が難しく、中身が見えにくい、なおかつカバードコール戦略の特徴上、値上がり益は放棄しなければいけないところだと考えます。
しかし、これまでの実績よりQYLDは高い分配金利回りを維持し、良好なリターンを出してきた事実があります。
よって、カバードコール戦略は理解が難しいことがデメリットではありますが、最大のメリットであるとも考える事ができると思います。
それでは次にQYLDの銘柄構成プロセスについて解説していきます。
QYLDの銘柄構成プロセス
QYLDは以下のような仕組みで成り立っています。
やはりカバードコール戦略は複雑な運用をしている事が分かると思います。
理解できないものに投資をするなといった投資の格言がありますから、QYLDへの投資は慎重になるかもしれません。
QYLDのおもしろいところは、世界で一番値上がりが期待できる最強指数NASDAQ100の値上がり益を放棄するところです。
この仕組み革新的過ぎませんか?
また、カバードコール戦略は相場が不安定(ボラティリティが高い状態)だと利益が多くなる仕組みです。
なので、QYLDに投資している人は相場が不安定になることを祈った方が良いという事になります。(笑)
という事は、カバードコール戦略の特性上、QYLDはリスクヘッジになる可能性があると考えます。
もしかしたらQQQ(NASDAQ100に連動するETF)とQYLDをポートフォリオの中に同時に組み入れておけば、お互いのメリットデメリットをイイ感じにカバーしてくれるかもしれませんね。
QYLDのバックテスト結果
それでは次にQYLDのバックテスト結果について紹介します。
解析条件は以下です。
・比較対象:高配当ETFのVYM,HDV(SPYDは歴史が浅いため除外しました)
・ベンチマーク:S&P500
・解析期間:2014年~2021年(QYLDのデータが2014年~しかないので)
・初期に10,000$(約110万円、1$=110円として計算)を一括購入、その後毎月300$(約33,000円)の積立投資
・分配金は再投資
解析結果がこちらになります。
銘柄 | 最終資産 | CAGR (年平均成長率) | 標準偏差 (リスク) | Best Year | Worst Year | 最大下落率 | Sharpe Ratio | Sortino Ratio | 米国市場との相関性 |
QYLD | $21,701 | 10.88% | 10.69% | 22.67% | -3.05% | -17.18% | 0.76 | 1.07 | 0.86 |
VYM | $24,573 | 12.74% | 13.35% | 24.07% | -5.91% | -23.98% | 0.76 | 1.18 | 0.94 |
HDV | $20,955 | 10.37% | 13.59% | 20.23% | -6.47% | -26.06% | 0.59 | 0.9 | 0.87 |
S&P500 | $30,722 | 16.14% | 13.87% | 31.33% | -4.52% | -19.63% | 0.96 | 1.55 | 1 |
Portfolio Visualizerにて解析
いかがでしょうか?
QYLDはリターンがそこそこ高く、リスク(変動幅)も低い、そして下落耐性があり、なおかつ下落からの回復も早いです。
優秀なETFであることがお分かり頂けたのではないでしょうか。
この結果を見る限り高配当好きな方は投資価値有りと考えて良いかと思います。
それにしてもS&P500は本当に優秀な指数ですね。
成長性及び年間分配金をグラフにしたものがこちらです。
成長性を見るとまぁこんなものかといった感じですが、年間分配金を見るとQYLDが突出しています。
このQYLDをポートフォリオの一部に組み入れると、明らかにキャッシュフローが改善します。
高配当好きな方の投資目的は、キャッシュフローの改善が大半を占めるのではないかと思います。
QYLDはその投資目的に合致している、良いETFだと思っています。
キャッシュフローが増えるという事は、FIREを目指している方にとって非常に相性が良いETFと言えるのではないでしょうか。
まとめ
QYLDの特徴(メリット、デメリット)、リスクとリターン、バックテスト結果についてお伝えしてきました。
いかがでしたでしょうか?
キャッシュフローの改善を目的として高配当株に投資している人は、このQYLDは非常に魅力的なETFかと思います。
しかも毎月配当なのでFIREを目指す人にも相性抜群なのでは無いでしょうか。
ぜひ、ポートフォリオの一部に組み入れてみることを検討してみてはいかがでしょうか?
もちろんQYLDを盲信し過ぎるのは危険ですので投資をする際には程々が良いかと思います。
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