待機児童問題の解消に向けて誕生した「小規模保育園」。定員19名以下、0歳児~2歳児対象とした保育園とは具体的にどのような施設なのでしょうか。小規模保育園の特徴や保育料、一般的な保育園との違いだけでなく、実際に働くメリットや預けるメリットなどを紹介します。
小規模保育園ってなに?一般的な保育園との違い
小規模保育園とは、定員が全体で6人から19人以下で0歳児~2歳児を対象に家庭的保育に近い環境のもとで、きめ細やかな保育活動を行う認可施設です。
一般的な認定保育園は定員人数が最低20名以上で0歳児~6歳児対象と定められているため、対象児の年齢と定員人数に大きな違いがあります。
今まで小規模の保育園は認可外の施設が多くありましたが、2015年の「子ども・子育て支援新制度」により、国や自治体から補助が受けられる「認可保育園」として認定されるようになりました。
近年の待機児童問題は、0歳児から2歳児までの子どもたちが保育施設の入所を希望しているものの、受け入れる施設が少ないことが問題となっています。
対象年齢を限定した小規模保育園は、保育の受け皿として大きな役割を果たす存在でしょう。
小規模保育園の保育料
認可保育園のため、一般的な保育園と同様に保護者の「住民税の所得割額」に応じて保育料が決定します。
各自治体によって具体的な保育料は異なるので、お住まいの地域の役所に確認する必要があるでしょう。
また、2019年10月より幼児教育の無償化が始まり、0歳児~2歳児までの住民税非課税世帯は無償化の対象となるため、この点も含めて確かめるとよいかもしれません。
小規模保育園の3種類の特徴
小規模保育園には、A型・B型・C型の3つに分類されいます。
認可前はもともと認可外の保育園が多くありましたが、多様な事業から認可保育園への移行を考え、3種類に分けられました。
それぞれの特徴について見ていきましょう。
A型
A型は、一般的な保育所を小さくした分園型の保育所やミニ保育所に近い形となります。B型とC形との違いは、職員が保育士の有資格者のみを雇用しているという点でしょう。
B型
B型は、A型とC型の中間のもので、さまざまな事業から円滑に認可がおりるよう、雇用する保育士の有資格者全体の半分でよいという基準になっています。
保育士以外は、研修を実施して保育の質の確保を図る取り組みが行われているようです。
C型
C型は、家庭的保育所に近い形で、職員は必ずしも保育士の有資格者でなければならないというわけではありません。
自治体が行う一定の研修を修了している「家庭的保育者」、または保育士同等以上の知識や技術があると認められた方が従事します。
認可基準
A型・B型・C型、職員の配置や設置基準については、厚生労働省の「関係事業等の概要について」の資料によると、以下のように違いがあります。
また、一般の保育園の認可基準は以下の内容となります。
小規模保育園は、上記のように一般的な保育園の認可基準と職員数や保育士の有資格者の数などが異なります。
B、C型については必ずしも職員全員が保育士の資格を保有するという条件はありませんが、園独自の研修などを行い、保育の質の一定の維持や向上について取り組む必要があるでしょう。
小規模保育園に預けるメリット
小規模保育園に子どもを預けることを考えた場合に、どのようなメリットがあるのかを紹介します。
アットホームな保育環境
小規模保育園は、一般的な保育園よりも職員が多く配置されており、子どもたち一人ひとりに対して手厚い保育を受けられることが考えられます。
保育園全体の定員が19名以下のため、職員の数も少なく、保育者と子どもの距離が近いことから、家庭的な雰囲気の中ですごせるかもしれません。
0歳~2歳児はおむつ交換や衣服の着脱、食事の援助などさまざまな形で保育者と触れ合う機会も多いので、アットホームな保育環境のもとで子どもを預けられるということは大きな魅力の一つでしょう。
利便性が高く、通いやすい
小規模保育園は駅の近くなど交通の便がよい場所に設置されていることが多いため、預けやすいという特徴があるようです。
敷地面積も一般の保育園よりも小規模なので、利便性の高い場所で開園できるということが要因となっているかもしれません。
働いている保護者の方で交通機関を利用して勤務先に向かう場合なども、駅の近くに小規模保育園があると通いやすいですよね。
異年齢児と深く交流できる
小規模保育園は、0歳~2歳児の異年齢の子どもたちが共に一つの保育室で活動を行うことも多いでしょう。
上の子が下の子を抱っこしたり、下の子が上の子の真似したりと日常的により深く接することでき、異年齢児との交流を楽しめるのではないでしょうか。
子ども同士の距離が近いと兄弟、姉妹のような親しみをもった関係を構築し、充実した
園生活となることが期待できます。
小規模保育園に働くメリット
小規模保育園で職員としては働くメリットについて紹介します。
少人数制でゆったりと関わることができる
一般的な保育園よりも小規模保育園は職員の配置基準が手厚いことから、少人数制の保育活動となっています。
大規模の保育園の場合は、年齢によって20人、30人を保育士2人で担当することもありますが、小規模保育園は0歳~2歳児の成長が著しい子どもたち一人ひとりとゆったり関わることができるため、親密に接する時間をもてるでしょう。
行事が少ないことで休暇が取りやすい
一般的な保育施設の行事は主に保護者の休日に合わせて土日に開催する場合が多く、なかなか休暇が取れないという保育士さんもいるでしょう。
小規模保育園は0歳~2歳児を対象とした保育を行うことから、運動会や発表会といった大規模なイベントが少ない場合もあるかもしれません。
行事が少ないと、「休暇が取りやすい」、「普段の保育の集中できる」というメリットもあるでしょう。
イベントがある場合も少人数で開催することから、一般的な保育園よりも準備の時間があまりかからないため、保育士さんの負担も軽減されるかもしれません。
乳児保育の経験を積むことができる
小規模保育園は3歳以上の子は預からないので、乳児保育中心に活動を行うことが考えられます。
0歳~2歳児はハイハイしたり、離乳食が食べられるようになったりと発達が著しく、子どもたちの成長を感じる場面も多いかもしれません。
3歳児未満を中心に経験を積むことができれば、乳児保育のスペシャリストを目指してキャリアを重ねられるでしょう。
待機児童問題解消に向けて小規模保育園が必要
小規模保育園は、アットフォームな環境の中で子どもたちたちを保育できるということは、預ける側も働く側にとっても大きな魅力の一つといえるでしょう。
待機児童問題の解消に向けて、小規模保育園の存在は大きな注目を集めています。
小規模保育園のような保育の受け皿となるべく増設に取り組む一方で、各保育施設で働く職員の環境整備も重要でしょう。
職員の労務管理や園児管理などを一括化したICTシステムの導入や保育者の待遇改善に目を向けるなど、働きやすい環境整備への取り組みも大切かもしれません。
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