満期保険金に税金はかかりますか?
生命保険の中には満期保険金を受け取れるタイプのものがあります。
代表的な商品が「養老保険」と「学資保険」です。
そろそろ満期になる方は満期保険金を受け取った時、税金がかかるのか、どれくらいかかるのか気になると思います。それでは事例を参考に、満期保険金にかかる税金について確認してみましょう。
契約者が夫だった場合の満期保険金にかかる税金
「契約者」「被保険者」「満期保険金受取人」が誰かによって、満期保険金にかかる税金の種類が異なります。
契約者被保険者満期保険金 受取人 夫 夫 夫 | 所得税 (一時所得) |
契約者である夫自身が満期保険金を受け取る場合、所得税の課税対象になります。
満期保険金や生命保険の解約返戻金など、一時金で受け取るものは所得税(一時所得)がかかります。
契約者被保険者満期保険金 受取人 夫 夫 子 | 贈与税 (特例贈与) |
夫から子どもへの贈与があったとされ、この場合の満期保険金は贈与税の課税対象になります。
20歳以上の子や孫などへの贈与は特例贈与、それ以外への贈与は一般贈与となります。
保険料を支払った人(契約者)と満期保険金を受け取る人が異なる場合、親子間のやり取りでも「贈与税」がかかり、大きな税金がかかる可能性もありますので、「契約者」と「満期保険金受取人」は同じ人にしておくのが良いでしょう。
税金シミュレーション
ここでは「契約者」と「満期保険金受取人」が同じ場合の、満期保険金にかかる税金の事例をご紹介いたします。
基本的に満期保険金など一時金で受け取るお金は所得税の中でも「一時所得」となるため、他の金融商品よりも税金は優遇されています。
満期保険金を受け取った場合の税金【事例1】
■学資保険
契約者 | 被保険者 | 満期保険金受取人 |
---|---|---|
夫 | 子 | 夫 |
満期保険金:300万円
今まで支払った保険料の合計:270万円
●一時所得の計算
一時所得の計算は、受け取った満期保険金の金額から今まで支払った保険料の合計と特別控除額の50万円を引いた金額に1/2を掛けた金額になります。
この計算式に、満期保険金の金額などの数字を入れます。
満期保険金の金額と払込保険料の金額から算出された一時所得の金額は「-10万円」となり、既にマイナスですので、課税対象にはなりません。
「受け取ったお金(満期保険金)」と「払い込んだ保険料(払込保険料)」の差額が50万円を超えなければ税金はかかりません。
学資保険の場合、税金がかかることはほとんどありません。ただし、満期保険金の受取人を子どもにした場合は、「贈与税」がかかりますので、税金がかかる可能性は高くなります。満期保険金受取人は親にするよう注意してください。
満期保険金を受け取った場合の税金【事例2
■養老保険
夫の保険が満期になり、生命保険会社から満期保険金600万円(配当金含む)を受け取りました。所得税の計算をしてみます。
契約者 | 被保険者 | 満期保険金受取人 |
---|---|---|
夫 | 夫 | 夫 |
満期保険金:600万円
今まで支払った保険料の合計:400万円
【勤務先から渡された源泉徴収票】
- 支払金額:670万円
- 給与所得控除後の給与の金額:483万円
- 源泉徴収税額:9.8万円
- 社会保険料:102万円
- 生命保険料控除額:12万円
- 扶養家族(妻・子ども2人:大学生と高校生)
●一時所得の計算
一時所得の計算は、受け取った満期保険金の金額から今まで支払った保険料の合計と特別控除額の50万円を引いた金額に1/2を掛けた金額になります。
この計算式に、満期保険金の金額などの数字を入れます。
受け取った満期保険金の課税一時所得金額は「75万円」となります。
次は給与も含めた総所得金額を計算します。
●総所得金額
●課税所得金額
●基礎控除 | …38万円 |
---|---|
●配偶者控除 | …38万円 |
●配偶者特別控除(最高)※1 | …38万円 |
●扶養控除:一般の扶養親族(1人)※2 | …38万円 |
:特定扶養親族(1人)※3 | …63万円 |
●社会保険料控除 | …支払額 |
●生命保険料控除(最高) | …12万円 |
●地震保険料控除(最高) | …5万円 |
※1:一般の扶養親族は16歳以上19歳未満と23歳以上70歳未満の扶養親族(70歳以上は老人扶養親族)
※2:特定扶養親族は19歳以上23歳未満の扶養親族
●算出税額
算出税額
(A) 課税される所得金額 | (B) 税率 | (C) 速算控除額 |
---|---|---|
~ 195万円以下 | 5% | 0万円 |
195万円超~ 330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円超~ 695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円超~ 900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
900万円超~1800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1800万円超~4000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4000万円超~ | 45% | 479.6万円 |
この事例では、満期保険金600万円の収入増加に対して、「7.5万円」の所得税額を申告納付することになります。
「受け取ったお金(満期保険金)」と「払い込んだ保険料(払込保険料)」の差額が50万円を超えなければ税金はかかりません。
契約者と満期保険金受取人が違うと「一時所得」ではなくなるので、契約形態を確認しておきましょう。
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